2013年04月18日

陣馬山から景信山 ‐高尾山域のハイウエイ‐

 陣馬山から景信山までは、高尾山域で一番標高が高い所を結ぶ尾根道だ。
 というと普通、どんなに急な箇所があるかと思うかもしれない。
 しかし、実際には逆に、陣馬高尾縦走路の中でも、一番アップダウンが少ない区間となっている。
 それに、尾根自体も広く、縦走路も直登コース、巻き道コースと何本化に分かれている区間も多い。
 また、日本一登山者数が多い縦走路とは言え、景信山以南と比べれば、それでも人は少なく、すれ違いや追い越しで時間を取られることも少ない。
 トレランの人は平均速度が最も高くなる区間だ。
 一般の人でも、少し慣れた人なら、平均時速4qを超えて歩くことができる。
 
 しかしその分、変化に乏しいのも事実だ。
 陣馬山から明王峠にかけては一部で雄大な景色が見られるが、明王峠から景信山までは、それほど展望には恵まれない。

 山歩きでは、特にガイドブックで、スピードと言うものがタブー視されているところはあることは確かだ。
 山歩きの本質は、周囲の景色を見ながら自然と一体になってゆっくり歩くものであって、速さを競うことはけしからんという風潮がある。
 
 もちろん、自分の能力以上のスピードで歩き、転倒でけがをしたり、疲れで途中から歩けなくなれば、元も子もない。
 しかし、山歩きは移動のスポーツだと考えると、ある程度のスピードで歩く快感を覚えることは、決して悪いことではない。
 我々は、普段、自分が快いと感じるスピードを持続して歩くことがどのくらいあるだろうか。
 家から駅、駅での乗り換え、駅から学校や職場、スーパーやコンビニなど、いろいろなシチュエーションがあるが、人ごみや赤信号にじゃまされ、なかなか自分のペースで歩けないのが現実だ。
 多少のアップダウンや木の根やぬかるみなどがあるかもしれないが、歩きやすい靴を履き、荷物もまとめてザックの中に入れている一番いい条件で、思う存分歩いてみたいのが、この区間だ。

 いよいよ陣馬高尾の縦走開始だ。
 行動を開始する前に、道が間違っていないか、確認をしよう。
 道迷いの中には、本当に初歩的だが、山頂からの下り道が間違っていたということが意外と多い。
 陣馬山頂は4差路になっている。
 陣馬高尾縦走路は、白馬の頭の少し左部分から始まる。
 陣馬高原下からの道で、高尾評論が述べた通りのルートをとった人は、来た道を1分程度戻ることになる。

 ここから高尾山口までは、「関東ふれあいの道」の「鳥のみち」にもなっていて、立派な石の標識が約1kmごとに地面に埋まっている。
 これによると、陣馬高原下から高尾山口は合計19kmとなっているが、これは和田峠と高尾山1号路を経由した場合の距離だ。
 陣馬新道と、6号路、稲荷山を通ると、1q少々短くなる。

 陣馬山を出ると、いきなり階段になる。
 場所によっては土が削られ、階段状の丸太がむき出しで出ているところがある。濡れていると丸太の上は滑る。
 
 陣馬山直下は当然下り基調だが、そのうちにアップとダウンを同じくらい繰り返すことになる。
 進行方向右側は明るい広葉樹、左側は杉の人工林が多い。
 右側には、相模湖を挟み、丹沢や、斜め後ろの富士山がたまに見える。

 道はたまに二股に分かれるが、当然太い方が本道の縦走路だ。
 細い方は巻き道で、主なものは明王峠までに2箇所あり、両方とも本道の右側についている。
 本道が尾根のピークを忠実にたどるのに対し、巻き道はやや麓をたどることになる。時間的にはどちらもそう変わらない。
 道に迷いそうな不安があれば、本道を選ぶべきだ。
 なお、この先の巻き道も全部そうだが、10分以上歩いて本道の縦走路と合流しなければ、その道は巻き道ではなく、とんでもない場所に向かっている可能性がある。
 すぐに引き返すことにしよう。

 東側が開けたところに、明王峠がある。
 走路の中の峠とは、普通、一番低い場所にあるのだが、ここは違う。
 向かって右側には、相模湖駅に抜ける道がある。
 バスを使わず、車道もほとんど歩かないで駅まで行けるお勧めの道だ。
 いろいろな事情で、ここで縦走を打ち切る場合は、このコースを下山路に使うといい。
 明王峠から相模湖駅までの所要時間の目安は、陣馬高原下から陣馬山までに要した時間の2割増しと考えたい。

 ただ、陣馬高尾縦走を続けるつもりで、明王峠から相模湖へ下ってしまう人が多発している。
 縦走路は、小屋の向かって左側の杉並木をたどる道だ。
   
 明王峠と景信山はほぼ同じ標高だ。
 ゆるいアップダウンの道を快調に飛ばす。
 ここでもいくつか道が分かれ、左が本道、右が巻き道となっている。
 距離的には本道の縦走路の方がやや短い場合が多い。
 時間的には、巻き道の方がやや早い事が多いが、大した差ではない。
 道に迷うのが心配だったら、本道を選ぶ方がいい。
 ただ、アップダウンは明らかに巻き道の方が少なく、心理的なものも含めて疲れはこちらの方が少ないだろう。

 一番大きい分岐が、堂所山へ登るか巻くかだ。
 ここだけは右の巻き道が本道となっているので、普通は巻き道を通ることになる。もちろん堂所山の頂上を踏んでおくのもいい。
 山頂は縦走路から少し北に離れている。分岐点から結構な急斜面を登りきると三差路に出て、そこを左に曲がり、100mくらいで着く。
 北西側しか展望は開けていないが、晴れていれば陣馬山の裏に富士山が見える。
 狭い頂上だが、縦走路が混んでいてもここは比較的空いている。
 静かなところで食事にしたい人には向いている場所だ。

 陣馬高尾縦走を続けるのなら、そのまま先に行ってはいけない。
 北高尾山稜という健脚コースに入ってしまう。
 景信山へは、先ほどの道を少し戻り、三差路を左に折れる。
 この先の本道までは、陣馬高尾縦走路では一番の急傾斜の下りとなることは、あらかじめ知っておいた方がいいだろう。

 道が合流しても、すぐに本道と巻き道が分岐する。
 巻き道はすべて本道の右側についている。実際、巻き道を歩く人の方が多い。

 去年から、「高尾山口10q、陣馬高原下9q」の標識から景信山よりのちょうど1qは、巻き道にロープが張られ、通行できなくなっている。

 ロープが切れたところに、「高尾山口9km、陣馬高原下10km」と書いてある石の標識がある。
 その数m先に、やっと再び巻き道がある。
 しめしめと思い、この巻き道を通ると、景信山までも巻いてしまう。
 出暗い杉林を抜けたら、小仏峠寄りの景信山の肩に飛び出し、あっけに取られている人をよく見る。
 昔はこの巻き道はなかったのだが、最近、トレランで使う人が増え、どんどん広くなってきたようだ。

 せっかく来たのに、景信山頂を巻きたい人はほとんどいないはずだから、ここは本道を選ぶことにしよう。

 この辺になると、本道もいくつかの細い道に分かれ、草に覆われているところもあるが、道を間違えたわけではない。
 景信山頂直下はさすがに登りになるが、陣馬山を登ったことを考えると、大したことはない。
 すっと山頂に着く。


 逆コースも快適なハイウエイだ。
 明王峠をちょっと過ぎてから陣馬山への登りとなるが、それも長くはない。
















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景信山から小仏城山 ‐縦走路の中では難所かつ一番景色がいい区間‐

 この区間は、陣馬山から景信山と打って変わり、厳しいアップダウンがある。
 小仏峠が、景信山と小仏城山に囲まれた「V」の字の底に当たっているのだ。

 道が厳しいと登山者数は減るかと言うとそうではない。
 陣馬山から景信山よりも、こちらの方が人出は多くなる。
 つまり、人出が多い道は無条件で歩きやすくなるわけではなく、地形的に厳しいところはどうにもならないのだ。

 景信山から縦走を再開する場合も、標識に気を付けよう。

 ここからの下りは最初から急だ。
 下りが苦手な人にとって、景信山から小仏峠までの道は、一番の難所となるだろう。
 山頂直下の道はコンクリートで固められているが、それでも下りが苦手な人は、へっぴり腰になる。
 見晴らしが良い分、余計それが遠くから目立つ。
 この場になって、根本的な歩き方を変えるのは無理な話だが、とにかく肩の力を抜くこと、なるべく遠くを見ることは意識したい。
 それと、すぐ後ろに人が付いたり、すれ違いが難しいと思った時は、無理をせず、山側に寄って止まることだ。
 
 周囲は伐採され、展望が非常にいい。
 眼下に中央道や中央線が見え、その先にこれから向かう小仏城山、高尾山、その左は関東平野が広がる。
 暑い時は、気持ちいい風が下から吹き上げるところだ。
 下りの苦手意識がない人にとっては快適この上ない道だろう。

 やがて少しの登りを経て、再び下りとなる。
 この下りも、苦手意識のある人にとっては嫌なものだろう。
 と言っても、夕方になると、かなりお歳を召した景信山の茶屋の人が、涼しい顔をして原付荷車で下ってくるのを見ることができる。

 下りきったところが小仏峠だ。
 ここにも茶屋の跡があるが、営業はしていない。
 左へ折れると、旧5街道時代の甲州道中を通り、小仏バス停へあっという間に出る。
 陣馬高尾最短のエスケープルートとなっている。

 小仏峠からは登り返しとなる。
 ほんのちょっと登ったところにまた茶屋の跡がある。
 ここからは相模湖方面が開け、日曜、祝日の夕方なら、中央道の渋滞が良く見えるだろう。
 小仏城山の手前では左に公式の巻き道がある。
 疲れたら巻き道を通りたくもなるが、この道も結局、城山と標高差があまり変わらないところまで登ることになる。

 巻き道分岐からは本道が何条にも分かれる。
 急な道だが距離は短く、すぐに山頂のパラボラアンテナの横に着く。


 逆コースでは、小仏城山からの下りが苦手な人の一番の難所となる。
ここは、道が何本にも分かれているところだ。
 この中で、一番急な道をおっかなびっくり下っている人がいるが、足元だけ見て、その先を見ていないからだ。
 下りが苦手な人は、思い切って一旦止まり、一番有利なコースを見つけるだけの余裕と勇気を持つことにしよう。
 逆に下りが平気な人は、あっけなく小仏峠まで着いてしまうだろう。

 小仏峠からは急な登りで苦しい。
 途中に前景信のピークがある。
 これにだまされてがっかりすることなく、景信山を目指すことにしよう。








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小仏城山から高尾山 ‐高尾山域で一番明るい尾根道‐

 小仏城山を出ると、登山客は更に増える。
 巻き道の合流点より先は、道幅がかなり広がり、快適に下っていく。
 展望も良く、陣馬高尾縦走路はもとより、高尾山域の登山道の中で、一番明るい感じがする区間だ。
 ところどころにベンチがあり、休憩する場所もたくさんある。

 ほどなく一丁平だ。
 右手には立派な展望台がある。
 特に西から南にかけての展望がいい。
 この先の高尾山頂よりも見晴らしがいいし、あちらの雑踏では落ち着かないから、ここを最後の休憩場所として、今までたどった道を振り返るのもいい。
 白樺林に覆われた中にはベンチが点在し、人でにぎわっていることが多い。
 これだけ人が多いのに、茶屋がないのは不思議だ。

 一丁平から少し下ったところが、小仏城山と高尾山との間の最低点となる。
 シーズン中は、ミツバツツジがきれいな所だ。
 この先、高尾山への道は3つに分かれる。
 真ん中が本道で、階段で尾根道を忠実にたどる。
 ピークはもみじ台といい、茶屋があって展望がいい。
 左側が一番楽で、緩やかに登るが、展望はない。
 右側はアップダウンは少なく、展望は良いが、とにかく長い。

 この3つの道が合流したところは、高尾山の一角だ。
 更に、5号路と高尾山頂への道と合わせ、6差路となっている。
 5号路は山頂周辺を一周する、それだけでは意味のないルートで、巻き道としてのみ利用価値がある。
 5号路を左にとっても、高尾山頂のほんの少しだけ下で1号路に合流するだけで、ほとんど意味はない。
 5号路を右にとり、稲荷山尾根にショートカットするケースのみ、意味がある。

 さて、最後の力を振り絞り、コンクリートで固められた階段を登っていく。
 いろいろなブログを覗くと、この登りが一番きつかったという感想があるが、実際にはそれほどの距離ではない。
 今までのペースを崩さずに登っていくことだ。
 シーズン中は登り始めると高尾山頂のざわめきが聞こえる。
 やがて、階段の端に座り込んだ人を押し分けるように進み、高尾山頂へ出る。


 逆コースも快適な道だ。
稲荷山や4号路や6号路を登ってきた人にとっては、こちらのほうがずっと歩きやすいと感じるだろう。
 というか、快適すぎて場違いな人がもみじ台や一丁平まで足を延ばし、帰りに苦労している。








posted by 高尾評論 at 21:36| 東京 ☀| Comment(0) | 陣馬高尾縦走路 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月29日

陣馬高尾縦走路概要

 陣馬山から景信山、小仏城山、高尾山にかけての尾根は、高尾山域で最も高い山々をつなぐ最大の尾根だ。
縦走路として、日本一の利用者があることは間違いない。

 中央道を東京から山梨に向かう時、または山梨から東京に向かう時、小仏トンネルに近づくと、大きな稜線が目の前に迫ってくる。
 夜走っても、漆黒の存在は圧倒的だ。
 また、高尾山頂に立った時、この先、長大な尾根が延々と続いているのを見て、いつかはあそこを歩いてみようと思った人も多いだろう。

 縦走路の片方は高尾山なので、交通アクセスは抜群だ。
 もう一方の陣馬山も、山としてはアクセスがかなりいいほうだ。
 交通費も安い。
 そして何より、4つの山すべて、山頂が広く、展望も第1級だ。

 最初の山頂にたどり着くまでは、それなりの登りはあるが、縦走路に入ると道は広く、アップダウンも割と少ない。
 快適な縦走路の見本のようなもので、このコースを歩けば、尾根縦走という形態がどういうものか分かるだろう。

 いろいろなガイドブックを見ると、一の尾根から陣馬山に登り栃谷鉱泉経由で下山するコース、小仏バス停から景信山に登り小仏峠で下山するコースなどが紹介されている。
 しかし苦労してこれら山頂の一角に立ったのに、縦走もせずにすぐ下山するのはいかにももったいない。
 ガイドブックにもいろいろ制約があり、山頂毎に紹介すると、このようなコースを載せることになるのだろう。
 しかしそれは、編集上の事情であり、実際に山歩きする人の事情は考えていない。

 道や標識の整備のされ方、茶店の数、山歩きをする人の数など、陣馬高尾縦走路は、抜群の歩きやすさ、安心感がある。

 脚に自信のある人、1日中自然の中で歩きたい人は、早起きをして、4山縦走に是非トライして欲しい。
 料理に例えるとフルコースを食べ終えたような満足感が残るだろう。

 この縦走路にはたくさんの下山路がある。
 疲れた時、天候が悪くなった時、日が暮れそうになった時は、迷うことなくエスケープルートとして使ってほしい。









posted by 高尾評論 at 23:42| 東京 ☁| Comment(0) | 陣馬高尾縦走路 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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