2012年08月21日

槍ヶ岳落雷時の山歩き

 8月18日土曜日、槍ヶ岳の落雷で、1名が亡くなられ、1名が重傷を負った。
 ちょうどその時、高尾評論も近くを歩いていたため、報告をする。

 朝7時に上高地に到着。
 快晴、無風。
 明日中に自宅に帰るため、槍ヶ岳にするか、奥穂高にするか、ここで決める必要があった。
 インフォメーションセンターの登山相談所で、今日の天候の様子を聞く。
 「今、上の方は少しガスっているが、これから晴れるだろう。午前中は持ちそうだ」
 思ったよりも天気がよさそうなので、岳沢経由で奥穂に行くことにする。
 このコースのネックは、岳沢小屋から穂高岳山荘まで、標準タイムで6時間半、山小屋がないことだ。

 9時。岳沢小屋。
 快晴、無風。
 奥穂から西穂の稜線、御岳山、霞沢岳が見渡せる。

 10時40分。岳沢パノラマ。
 少しガスが出てくる。

 11時20分。紀美子平。
 稜線はほぼガスっているが、前穂がたまに見える。
 前穂の往復に出発。

 11時50分。前穂山頂。
 何も見えず、すぐに下山。

 12時ちょうど
 雨が当たりだす。

 12時10分。
 東鎌尾根で落雷事故。重傷1名。

 この時、前穂下りでは、わずかに雷鳴が聞こえただけ。

 12時20分。紀美子平。
 雨が強くなる。
 雷鳴は弱いまま。
 奥穂高を越えて穂高岳山荘まで行くか、岳沢小屋に戻るか迷ったが、雨だけなら大したことないと思い、吊尾根を歩き始める。
 他の登山者も、大して気にしない様子で歩き続けている。

 13時。最低のコル。
 槍の穂先で落雷事故。1名が亡くなられる。
 ここでは、稲光は2回あっただけ。
 雷鳴は聞こえるが、事故のあった北方の槍ヶ岳方面ではなく、奥穂から西穂にかけての稜線から聞こえていた。
 吊尾根はすべて岩場の尾根で、雷を避ける場所がまったくない。
 大雨で視界が悪く、岩が滑りやすくなり、ペースが落ちる。
 雷の恐怖はさほどない。

 14時。
 雷雨が上がり、ガスも切れだす。

 14時40分。奥穂高岳山頂。
 遠くは見えないが、槍、西穂は見える。
 ジャンダルムの上にも人が立っている。



穂高岳山荘にて
 西穂からジャンダルムを越えて来たグループと相部屋になる。
 ヒョウが降ったが、雷は遠鳴りだったとのこと。
 夕食も、翌日の朝食時も、槍ヶ岳の落雷事故の話題は出なかった。

順調に下山。

槍ヶ岳落雷事故のことを知ったのは、翌8月20日だった。

落雷事故は、高尾評論が歩いていた場所から直線距離で5〜6qしか離れていなかった。
陣馬山と景信山との距離ぐらいである。
この間に、片方では大事故が起き、片方では落雷の恐怖もあまり感じなかった。
雷雨の時間が早かったため、奥穂高以外でもまだ尾根筋を歩いている人も多かったと思う。

前日の予報では、昼から雷雨の可能性が高いと言っていた。

上高地で天気が思わしくなかったら。、高尾評論ではより難度が低い槍沢経由で槍ヶ岳に向かっていた。

自分自身への反省の意味も含め、報告する。
posted by 高尾評論 at 21:06| 東京 ☀| Comment(3) | 予防安全予防衛生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月17日

真夏に高尾

 真夏のこの時期は、一番高尾には行きたくない時期だと思っている人は多いだろう。
 標高の低い高尾を登るときは、とにかく暑く、飲み物も多めに持って行かなければならない。
 
 では、夏は高尾へ山歩きをする価値がないかというと、そんなことはない。
 この時期ならではの楽しみ方があるはずだ。
 まず、暑さをなるべく避けよう。

 一番暑いのは登っている時だから、登りをなるべく少なくしよう。
 いつもは激混みのケーブルやリフトも、この時期は比較的空いている。
 歩いて登るのなら、沢沿いの道がいいだろう。
 6号路、蛇滝、日陰沢、陣馬新道などがお勧めだ。

 次に、日が当たる山頂は避けることにしよう。
 休憩は何が何でも山頂でという考えはやめた方がいい。
 どうせこの時期は大した展望は得られない。
 いつものようにガツガツ歩くのをやめ、涼しそうな場所で時間をつぶしたらどうだろう。

 山を抜ける風の心地よさは、山で怠惰に過ごさなければ分からない。
 エアコンのつんとした冷たさとは次元が違うものだ。
 京王沿線の人ならば、エアコンの電気代よりも交通費のほうが安いくらいだ。

 エコに協力する意味でも、この時期、何の目的も持たず、高尾へ出かけてみてはどうだろう。

 
 
posted by 高尾評論 at 20:04| 東京 ☀| Comment(0) | 持ち物評論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月05日

健脚高尾的富士登山  ―須走口から電車日帰り―

 年間30万人もの富士登山者の中で、体調万全な状態で登る人は、どのくらいいるだろう。

 睡眠時間ひとつとっても、十分に足りている人は1割もいないのではないか。

 一番多いパターンは、5合目を昼ごろ出発し、7合目か8合目の山小屋で一泊する。
そして夜中の1時か2時に山小屋を出て、頂上でのご来光を目指す。
 
 お金がない人や、山小屋の苦手な人は、宵のうちに5合目を出発し、完全徹夜でご来光を目指す。

 脚に自信がある人は、夜中の2時か3時に自宅を出発し、河口湖、水ヶ塚、須走の駐車場にマイカーを停め、早朝のタクシーかシャトルバスで5合目に向かう。

 いずれも、普段の生活パターンと著しく異なるため、満足な睡眠をとることは難しい。

 
 普段、高尾へ山歩きに行く感覚で、日本一の富士山に登ることはできないだろうか。

 高尾評論では、健脚者限定になるが、小田急線の新松田7時20分発、須走口5合目行きの一番バスに乗り、その日のうちに下山するプランを計画し、昨日行ってきた。
 なお、このバスは、土日のみの運行であり、平日は使えないことを最初に言っておく。

 須走口5合目到着は8時50分、新松田行き最終バスは17時10分だから、8時間で富士山頂まで往復しなければならない。
 ただ、これは努力目標で、新松田行きに乗り遅れても、御殿場行きは20時30分まである。
 このうち、17時30分と18時30分に乗れば、御殿場で新宿行き小田急箱根高速バスに乗れるし、19時20分と20時30分に乗れば、JR御殿場線で東京都心まで帰れる。


 小田急線の下りは、できれば、新宿5時31分の始発急行に乗りたい。
 5時46分、6時1分発でも間に合うが、新松田から1時間半かかるバスで立つリスクが増える。
 
 小田急で乗る車両は、6号車だ。
 新松田の改札口を出ると、すぐ前の2番乗り場が5合目行きになる。
 まずここでザックを降ろし、すぐ後ろにある、はなの舞に付随した切符売り場の開くのを待つ。
 売り場では、帰りは新松田と御殿場の両方に降りる可能性がある旨を言い、3千円の往復券を受け取る。
 
 バスは、普通街中で見かける通勤用の車両だ。
 横向きの小田急の車両もそうだが、陣馬山当たりに行くのと同じ雰囲気で行くことができる。
 
 交通費も小田急も入れ、新宿から5千円以内と、貧乏山歩きにふさわしい額だ。


 バスは30人の乗客を乗せ、8時40分に須走口5合目に着いた。
 ここは5合目と言っても標高1970mで、メインルートの吉田口や富士宮口より300〜400m低い。
 ここは、実質上、4合目に相当し、須走口の頂上まで標高差1750mを登ることになる。
 
 標高の低い分だけ、高度順応にかける時間も少なくて済む。

 
 高尾評論は、9時ちょうどに出発した。

 こじんまりした商店街を過ぎると、森林の道に入る。
 他のコースのような殺伐とした感じはない。
 標高が高いから高尾とは植生は全く異なるが、いつも高尾を歩くのと同じ感覚で歩くことができる。
 高尾評論では、1時間に400mを登る要領で歩くことにした。
 水平距離で時速1.8kmに相当するペースだ。

 周りの人のペースはとにかく速い。
 50p以上の高さの岩もものともせず、一跨ぎで飛び越す人が多い。
 吉田口と合流する本8合目までの間に、8割がたの人に抜かれたと思う。抜かせてもらったのはたったの2割だ。
 
 富士山と高尾以外でも、アリさんの行列状態で登る山は、丹沢の大倉尾根、北アルプスの八方尾根、白馬大雪渓、燕岳合戦尾根などあるが、登山者の歩く速さはそれらのどこよりも明らかに速い。
 速いと言っても、すぐに止まり、座り込む。
 休みながら景色を楽しむのなら別だが、あまり効率的な歩き方ではないと思う。
 
 本8合目の胸突江戸屋で吉田口からの道と合流すると、軽い渋滞が始まる。
 道自体は広いのだが、登山者がその辺に座り込み、道をふさいでいる。
 みんな、高山病で苦しんでいるので、非難もできない。
 とは言え、落石の危険があるし、他の登山者が戻したものも散らかっているので、場所は選んだほうがいいと思う。

 マイペースを保ったが、割とあっけなく、吉田口頂上には13時過ぎに着いた。
 
 頂上と言っても、ここは外輪山の一角に過ぎず、富士山の本当の頂上は、外輪山の反対側にある剣ヶ峰だ。
 ほとんどの人はここで引き返すが、実にもったいない。
 外輪山を歩くお鉢巡りをしなければ、富士登山の魅力の半分も味わえないと思う。
 時間と体力に余裕があり、強風が吹いていないのなら、ぜひお鉢巡りを一周してほしい。
 いかにも火山である火口の様子が分かるし、吉田口では見えない青木ヶ原、日本アルプス、駿河湾、伊豆半島などが見える。
 特にお鉢巡りの北西側は、登山口、下山口がなく、静かな山歩きができる。

 
 人がまばらになった外輪山を反時計方向に歩き、剣ヶ峰に向かう。
 剣ヶ峰の頂上は、証拠写真を撮る人が、お鉢巡りの道までずらっと待っている。
 3週間前、徹夜で吉田口から登った時も、明け方、同じように並んでいたから、夏の土日はいつもこんなものなのかも知れない。
 せっかく立った剣ヶ峰だが、展望台は閉鎖されていた。

 結局剣ヶ峰を出たのが14時半過ぎ、須走口を下り始めたのは15時になっていた。
 
 せっかく公共交通機関で来たのだから、登り口と下り口は違うところにしたい。ただ、須走口は、登山道と下山道が違うため、飽きることはない。

 砂走りといえども、高尾評論は小股でいくのがいいと思う。
 砂の中に大きい石があり、それにつまづいて上半身を骨折した話はいくつか聞いている。
 他の山道の下りより、若干後ろ足に重心を残すように降りると、踵からうまく砂の中にめり込み、結果として1歩でたくさん下ることができる。

 丁寧に下っても須走口頂上から2時間弱で5合目に着くことができた。

 17時10分発、新松田行きのバスの乗客はたったの13人だ。
 休日の陣馬、小仏、奥多摩、丹沢のバスと比べると寂しい限りだ。
 やはり山歩きの客層が違うのだろう。


 肝心の天気は、7合目から上は快晴だが、その下に雲海が広がり、山中湖と小田原の街が少し見えただけだった。
 それでも普段と睡眠パターンをそう変えずに富士山頂に立ち、帰りの渋滞も気にせず、運転の神経も使わずに宵のうちに自宅に帰ることができた。
 タイトなスケジュールだったが、疲れを翌日に持ち越すこともなく、それなりに満足できた。
 
 こんな純粋日帰りのプランを紹介すると、登山関係者から怒られそうだ。
 しかし、普段の日常生活と同じ調子で山歩きすることを、みんなでもう一度考えるきっかけになればと思う。

 このプランでも時間が余り、体力にも自信があれば、長い御殿場口を降りるのもいいだろう。

 
 最初に述べたように、以上のプランは健脚者限定だ。
 
 目安は、高尾で以下のことが可能な人に限られると思ったほうがいい。
 ・高尾山口から陣馬山頂までの往復を、休憩時間を含め、8時間以内にできること。
 ・一昨年まで行われていた八王子八峰登山大会健脚コースで、時間内にゴールできること。
 ・秋から冬の日が短いとき、井戸、鎌沢入口、上川乗バス停から生藤山に登り、陣馬山を経て、明るいうちに高尾山口まで縦走できること。
 これらは、必要条件であり、十分条件ではない。
 さらに、高所に強いことが条件だが、これだけは実際に富士山に登ってみないと分からない。

 それから、いくら健脚でも、ヘッドライトは必ず持っていこう。
 須走口の下山路は、砂払いを過ぎてからは樹林地帯になるので、ルートを確認できる地図を持っていくこと。


 
 お勧めの富士登山コース
 

 登りは富士宮口と須走口
 下りは須走口と御殿場口

 
 高尾評論が数多い富士登山サイトを差し置いて言うのも僭越だが、以上を推薦コースとする。

 富士宮口は、何と言っても標高が一番高く、登山時間が短い。
 欠点は、公共交通機関がうまくいかず、日帰りがほぼ不可能だ。
 下山路は、登山路と同じで、面白くない。

 御殿場口5合目は標高が1400mしかなく、さすがにこれを登るのは大変だ。
 下りは大砂走りを豪快に降り、富士山の大きさが実感できる。
 富士宮口5合目でマイカーを置いてきた人は、宝永山経由で戻ることもできる。

 須走口は、今まで述べたように、自然が一番残っており、標高差の割には所要時間が少なく、疲れない。

 じゃ、一番人気の吉田口はどうだろう。
 ここでは人工的な階段を登ることになる。
 富士山だから天気さえよければ素晴らしい展望に恵まれるが、登山道自体は、廃墟になった巨大な工場か城の中を延々と歩く感じだ。
 階段が切れた後の急登は、かなり厳しい。
 ただ、人が多い分だけ、夜行登山の際は安心だ。
 公共交通組には、新宿から直通の高速バスがあるのも助かる。
posted by 高尾評論 at 17:45| 東京 ☀| Comment(0) | 富士山と高尾山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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